今となっては笑い話なんだが、吃音者って時に一般人にとっては奇妙な人種に映る時があると思う。
吃音を回避するためにいろいろな努力をするのであるが、時として、かなり不自然な言動をしてしまうことがある。
その代表的なものが言い回しだ。
かなり不自然な言い回し
例えば、「いとこ」のことを話したかったとしよう。
普通に、
「先週いとこの家に行って、ギターを教えてもらったんだよ」
と言いたかったとする。
ところが、僕にとってはあ行(母音)は発話ができにくい部類に入る。(というか完全にスムーズに話しにくい)
そこで、なんとかあ行を回避できるような道を探るわけである。
するとこんな風になる。
「先週、お袋の息子のハウスでさ、レクチャーしてもらったのよ、ギターを」
※たまに言い換えた言葉が母音の場合もあるが、そんな時はやっぱりどもる(笑)
かなり不自然、かつ回りくどい言い回しだ。
いや、上記の例は極端だとしても、かなり近い形で当時は真剣に吃音回避の道を探していたのだ。
このくらい試行錯誤して学問や仕事に取り組んでいれば、人生も違っていたくらいにというほどである。
まあ、それくらい吃音の克服というのは大変なわけで、経験者しかわからないと思う。
話がどんどん飛んでしまうが、吃音者であるということ自体が他の人と違う人生を歩んでいたのだろうな・・・
40歳になり、ようやく吃音を克服したからこそこうやって振り返ることができるけど、就職したてとかは本当に必死だった。
さて元に戻ろう。
まるでジョジョバリのポーズで失笑を買う
この回顧録で一番言いたかった吃音回避施策は吃音が出そうになった時のポーズ。
ここまで書いてきて気づいたが、このポーズは吃音の回避対策ではなくて、吃音が出てしまった時に人に嫌われるのを最小限に抑えるための対策である。
吃音グセのある人なら分かる通り、最初の1文字をどもらずに発しようと思うと、かなり舌と喉に力がはいる。
そのまま運良くどもらずに言葉が出たとしても、その代償として、ツバが飛んだことが以前にあったのだ。
それは非常にまずい。
そこで、ツバ飛び対策として、一時期やっていたことがある。
それが、下の写真のように、口に手を添えること。
しかし、ここで完全に手を塞いだまま添えてしまうと、咳をするのと同じポーズとなってしまう。
こんな感じだ。
そこで、少し指と指の間を開けて、よくわからないポーズを取ることを当時の僕は考えた。
顔全体に手を覆っていれば、まるでジョジョのようなポーズだったな。
しばらくこれを使っていたのだが、さすがにある日Kちゃんに突っ込まれた。
Kちゃん:「結城くんさ、気持ち悪いの?」
と優しく聞いてくれるも、なぜか大笑い。
Kちゃんに好意を寄せていた僕のココロに傷がついたことはいうまでもない。
吃音者、それはどんなに姑息であっても、とにかく吃音が出ないように出ないように、そしてもし出てしまった時には被害が最小限に食い止められるように周到に準備を重ねる生き物である。
時に失敗しても仕方がない。