
突然だが、いま中学から高校までの英語の成績を思い出している。
小さいころから海外旅行に憧れを抱いいていて、英語の授業は、数少ない自発的に興味を持って受けられる授業だった。
授業の面白さという意味では高校時代の世界史が一番だが、単に先生の登山話が面白かっただけで決して世界史そのものに興味を持ったわけではない。
そういう意味では授業そのものでは、英語が一番楽しかったのだ。
それに付随して大学受験までの間、英語の成績が自分の中では一番良かった。
その比較的自身があった英語に対する意識が打ちひしがれたのが、2001年に訪問したアメリカ東海岸旅行である。
自分の英語がダメだと思った理由
自分の英語がダメだと思った理由は2つある。
一つ目は、単純に英語が聞き取れない、英語が話せないという自信喪失。
日本での英語の勉強なんて、英会話だけ考えたら本当に無意味であることを実感した。
それは日本人の誰もが感じたものだと思う。
だが、僕には特殊な事情がある。
そう、吃音者だという事情だ。
高校までの授業では英語で吃音がでることはなかった
高校までの英語の授業では、英語の授業で吃音が出るという経験をしたことがなかった。
おそらく英語の授業そのもので音読などがあったとしても、比較的クラス全体で声を合わせて読むことが多かったからだと思う。
そして、音読に関しては、国語での音読も含めてあるコツを掴んでいたので、唯一話すという行為の中で苦手ではなかった。
また英語の成績は、かなりいいほうだったので、そんな自信も手伝ってか高校までの英語の授業はプレッシャーもかからず自然体で言葉を発することが出来たのだと思う。
吃音者にとって、プレッシャーがかかるところで話す時こそ吃音がでることろはない。
それが、宿も予約せずに出国した初めてのニューヨーク。
かなりのプレッシャーを抱えながら宿を探した記憶がある。
早く休みたいという焦り
ニューヨークといえばジョンFケネディ空港が有名だが、僕が着陸したのはニューアーク空港。
そこからバスに乗りマンハッタンのポート・オーソリティバスターミナルに到着した。
辺りはもう暗い。
早速、歩きまわり宿を探し始める。あたりはあったのでそこへ行く。
少し予算よりも高く感じたけど、長時間のフライトとこれ以上スーツケースを持って歩き回りたくないという気持ちからフロントに声をかけることに。
でも、肝心の単語が出てこない。
僕はココロの中で思う。
(もしかしたら、ここでも吃音が・・・)
話そうとしたのは「I don’t have a reservation.」
そう、接頭語は僕が一番発音しにくい「あ行」だったのだ。
僕:「ア、ア、ア、ア、ア」
それでも英語が苦手な日本人だと思ってくれたのか、ゆっくりと答えを待ってくれた。
程なくして、日本でどもるのと同じくらいの時間を要したが、意思を伝えることには成功した。
しかし、ニューヨーク訪問の初日に、早くも英語でも吃音が出てしまうことにショックを受けたのである。
※渡米以前に、この教材に出会っていたらもっと有意義な旅になっていただろうなと思うが、過去は過去。今はフィリピンに移住して、どもりが出ることもなく楽しくやっている。
おっかない黒人のオフィサーの前で・・・

緊張する場面では決まって英語でも吃音が出た。
特に自分が話したあとにヒアリングをしっかりとしなくては行けない場面ではなおさらだ。
ホテルでのやりとりは、ある程度言われることが想像できたが、想定しないことは聞き取れなかった。
そして緊張の場面で一番は、何かを探している時に、その場所などを訪ねたい時だ。
ニューヨークで数日を過ごしたあとは、独立記念館で有名なフィラデルフィアに向かった。
ここには1泊の予定で、翌日はワシントンDCに向かうことになっていたので、ワシントンDC行きの時刻を知りたいと思い、到着したバスディーポ(バスターミナル)で時刻表がないか探してみた。
見事に自力では見つけられず、出来るだけ話したくはなかったのだが、誰かに聞くことにした。
わりかし事務系の男性に声をかけることに。
ただこの男性、いわゆる黒人で見た目がかなり怖い。
必死の覚悟で英語を発するものの、いつものやつが出てしまった。
僕:「キャ、キャ、キャ、キャ、キャ」
その男性は、怪訝そうな顔をする。
その表情を見ると余計にテンパった。
言いたかったのは
「Can I have a timetable for Wasington D.C.?」
いや~、結局文章にすることが出来ずに、
「Time table for Wasington D.C?」
で、切り抜けた。
どうにか通じたらしく、何かを言っている。
2回位聞き返したら、半ば怒鳴るようにして時刻表があるほうに指をさされた。
いまだに何を言われたのかわからないのだが、おそらく
黒人:「You got it!」
と言っていたんだと思う。
ちなみに翌日、バスの荷物を預けるときにも英語で失敗している。
どうにかチケットも買えて、半券も受け取った僕は荷物を放置して椅子に座り待ってようと振り返ったその時。
完全にマクドナルドの国だとわかるような体型の女性受付がひと言。
マック女:「●●●● ●●」
全くちんぷんかんぷんである。
ただものすごく短い語句だ。
やっぱり3回目くらいに聞いた時、半ばあきらめたカノジョは、ゆっくりと少し語気を強めて言った。
マック女:「YOU take it!」
これもまた想像でしかないが最初の2回は「Take it」と言っていたんだと思う。
僕がいうことを聞かないので
「あなたが、荷物を持って行くのよ!」
と、丁寧にわかりやすく、語気を強めて言ってくれたのだ。
そう、飛行機のチェックインカウンターに似た量りの上に載せたのでてっきりそこで荷物を預けるもんだたと信じ込んでいたのだ。
でも、実際には、重さ量っただけで荷物は出発まで自分でキープしておく必要があったのだ。
もう、英語でも吃音は出るわ、おまけにヒアリングが全然できないわで、かなりショックな旅行となってしまった。
ただ、驚くことに日本語で吃音を克服した今、英語でも出なくなったのだ。
なんと今のカノジョは。。。

最近はアメリカへは行っていないが、年に数回渡航するフィリピンでは、日常会話レベルとはいえ英語での会話を楽しんでいる。
そしてなんと若いフィリピン人のカノジョを作ってしまった。
これも吃音を克服して取り戻した男としての自信からだと思う。
追記:ついにフィリピン移住を果たした。今思うとこの教材との出会いが人生まで変えてくれたような気がする。