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吃音者にとっての天国とは、ひと言で言えば、出来る限り言葉を発する機会が少ない場面や場所。

もちろんリラックスしたり、からかわれる心配のない場所であれば問題はないのだが。。。

例えばキャバクラのように。。。あ、キャバクラでは、まれにからかわれる時もあったが、そこには何の利害関係もないから気楽だった。

もとい。

例えば、吃音者の天国を具体的にあげるとすれば・・・

とにかく自動券売機

一番代表的なのは電車の切符を買う時だ。

首都圏のほとんどの駅では切符は自動券売機で買える。

そこには駅員さんとの何の会話も必要なく、ただ受けたいサービス(この場合はどこまで電車に乗るか)を自己決定して自動券売機と対話をするだけ。

言葉を発することのないサービスは本当に天国なのである。

最近では定期券でさえも自動で買える。

僕が一番最初に定期券を購入したのは高校生の頃。

埼玉県から都内のターミナルの一つである池袋を経由して、品川区の高校まで通っていた。

なぜ埼玉から品川区の高校に通っていたかは、機会があったらまた書くかもしれないが(吃音の件とは結果的に少し関係した程度)、とにかく片道1時間45分もかけて電車通学をしていたわけである。

その当時からもちろん自動券売機はあったが定期券は窓口で買う。

区間や経由地、そして期間については基本的に申込用紙みたいなものに書いて提出するので、ある程度は吃音者としての悩みは緩和される。

その分を口頭で伝える必要がないからである。

ただ1回だけ言葉を発する必要があった。

それは、確認に対する返答だ。

つまり、申込用紙に書いてある必要事項を駅員さんが読み上げるわけだが、彼・彼女は私に対して確認の同意を求めてくるのだが、それに対する返答をしなければ定期券を手にすることはできない。

確認の返答なので「はい」とか「そうです」とかそんなもんなのだが、当時の僕にとっては、とにかく自分の口から言葉を発することに恐怖心があったのだ。

ようやく手にした定期券を見た時には、ニヤッとしたもんだ。

今思い出しても当時の俺、気持ち悪い。

電車の切符だけじゃない

お気付きの通り、自動販売で助かるのは電車の切符だけじゃない。

遊園地、水族館、美術館、などなどあらゆるテーマパークなどでサービスを受ける際、そこに対人を避けて商品を購入出来る場合は、そちらの選択肢を取る。

もちろん、いくら対人の窓口のほうが空いていたとしても、当時の僕は話さないで済む方に並んでいた。

そう考えると、完璧ではないまでも、日常生活に困ることがなくなるくらい吃音を克服できたことは人生の質ばかりか、時間効率をも高めたのかもしれない。