この吃音克服体験談を書き始めてから改めて思い出したこともある。
電話での苦しかった体験、子供の頃に吃音が原因でいじめられたこと、吃音者にかかわらず接客業をやっていた頃のこと。
などなど色いろあるわけだが、とりわけ心の傷を深めたのは恋愛だ。
中学卒業で失われかけた恋に
吃音と恋愛・彼女。
きっと吃音を克服したい人の中では、一番大きな問題だと思う。
だって、仕事に関する吃音の最大の悩みは就職試験の時の面接。
入社してからも確かに電話、相手方企業の受付で担当者を呼び出すこと。
などなど発話回避、場面回避をしたくなることはたくさんあるのだが、回避していたらいつまでたっても成就しないのが恋。
数少なくチャレンジした中でもひときわ印象に残っているのが、Kちゃんへのアタック(笑)
彼女は中学の同級生だった。
卒業するまで告白できないでいたが、高校に進んでもう会えないという悲しさに耐えることが出来ず、彼女の家に電話することを決意。
そう、当時は携帯やメール、LINEなんてないから、学校以外で彼女と話すためには実際にどこかで会うか、彼女の自宅に電話するしかなかったのだ。
で、ようやく彼女と話ができたものの・・
結果は見事に撃沈。
中学卒業で失われかけた恋は、やっぱり失ったのだ。。。
まあある意味、この時点では吃音は克服できなかったけれど、発話回避を克服できたという面では、少しは自信になったかなと思う。
3年後、大学生になった僕は、ついに彼女をゲットしたのだが・・・
彼女はまるで秘書、いやお袋
大学1年の夏。
僕らはサークルで出会い、付き合うことになった。
僕にとっては、実質初めての彼女である。
彼女は優しかった。
僕にどもりグセがあることはわかっていて、発話回避していると、察してくれ、レストランでのオーダーなどはすべてやってくれた。
その姿は専属秘書を通りこして、お袋のようだった。
そんな彼女との関係も実に付き合って丸5年で終焉を迎えた。
職場の同僚(しかも年下)が好きになったとのこと。
当時建設業で働いていた僕は週に1度しか休みがなく、趣味で野球チームに入っていたりして彼女と会うのは多くて月に2回。
慣れ合いの末の破局となったわけだが、今は。。。
今は、発話回避で彼女が僕のことを頼りなく思い、それが理由で、つまり吃音が理由で失った恋とだけは考えたくはない。
それでも、僕が逆の立場だったら、彼氏のことを頼りなく思うのは当然だよな~
反対に女の子の吃音は、こと恋愛に関しては悩まなくてもいいのかなと思う。
僕みたいな男は、逆に女の子が自信なさそうにしていると愛おしく感じるものだから。