今まで吃音の克服のために色々なことをやってきた。
結局、行き着くところは高額を支払った発話訓練や、フジテレビの月9でやっていたような心理カウンセリングのようなものではなく、僕からしたらたった数万円で、しかも簡単に手に入る>>この教材<<だったわけだが。
吃音を克服するためには自己流でいろいろと試したことがいくつかある。
その一つが、頭のなかで言葉を通り過ぎさせて、あとから発音をするというもの。
頭の中でまず想像発話
文章で説明してもかなり伝わりにくいと思うのだが、一番手ごわい母音(あ行)の発話の時で言えば、
「オレンジ・ジュースください」
という場合に、まず頭のなかでワンテンポ早く
(オレンジ・ジュースください)
といった気持ちになるのである。
頭の中で、言った気持ちになり、後付で音声を出すと、時にうまくいくことがあった。
気分的には、もう一人の自分がまず頭の中で話して、もう片方の自分が、「ほら発話」と背中を押すイメージ。
想像発話からの、後押し発話みたいなかんじだった(笑)
もちろん、いつもすんなり行くわけではなかったが、いくつかある吃音克服、どもり対策のパターンの一つとしてキープしておいた。
ただし、この想像発話法。
失敗するときは、まるで窒息死をしたかのような失敗ぶりを露呈することになる。
まるで窒息死しそうな薬毒被害者
先ほどの例で言えば、
(オレンジ・ジュースください)
と頭の中で言ったあとにすんなり実際の発話がうまくいかないと、なんとかリカバリーしようとするわけ。
普通のどもりなら、文字通り、どもってしまうのだが、へたに「必ず吃音を克服してやる!」と力んでしまうと、喉の奥の方に力が入ってしまうんだな。
後押し発話の司令をだしてそれがもう片方の自分から拒絶されると、まずリトライしようとする。
その時は単に舌が下がって硬直状態になるだけなのだが、
(何やってるんだ、次の客も待ってるんだぞ)
という、周囲からの視線とかも感じると、さらに焦ってくる。
訓練を兼ねてるんだからどもれない
でも発話できない
この二重苦のような状況から逃れようとすると
「うぉ、うぉ、うぉ、うぉれんじ・・・」
のようなうめき声に近いものが発せられるようになってくるのだ。
すると今度はどういうことになるかというと、
(やばい、どもってる)
という焦りが加わり、どもらないようにする。
うめき声も出せないし、どもることも出来ない。
すると最後は息を止めるような状態になってしまい、軽い窒息状態に陥るのである。
(もうどうにもならない)
と思った時の僕の行動が、突飛すぎた。
引きつった顔で必死にごまかすために自然とでた秘策
声も出ないし、どもることも出来なくて引きつりこわばった顔。
「ああ、もうひとまずこの状態からぬけだそう。どもってもいいや」
と思った時のごまかしの舞ともいうべき秘策。
それは・・・
あくびが出た振りをすること(爆)
眉間にシワを寄せて、今にも引きつけを起こしそうだった男が、にわかに顔の筋肉を緩めてあくびを繰り出す。
あの時、対応してくれたマックの二十歳そこそこのショートヘアの彼女は、一体何が目の前で起こったと思ったのだろうか・・・
すべからく確認したいのは山々ではあるが、当然今となっては確認する術はない。
ちょっと笑えるハプニング。
それでも当時は必死だったな~